パルタージュ  メールマガジン 2026年5月号

新緑がまぶしく、風のやわらかさを感じる季節となりました。

日々のなかで、ふと立ち止まる瞬間や、心が少し揺れる時間もあるのではないでしょうか。

今月の『パルタージュ』では、
「希望」と「言葉にならない不安」がともにある時間に光をあてています。

連載コラムに描かれる揺らぎは、
日々のなかで出会う言葉や、人とともに過ごす場にも通じています。

それぞれの分かち合いがどこかで響き合い、
誰かの時間をそっと支えるものとなればと思います。

今月も、それぞれの場所で過ごす皆さまの時間に、
小さなあたたかさが届きますように。

 

※『パルタージュ』とは、フランス語で「共有する、分かち合う」という意味です。

今月の一言メッセージ
「これからのとき 大切な方を亡くしたあなたへ」(財団法人日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団)の冊子より、毎月一言ずつメッセージをお届けします。
連載コラム

「あのとき、いてほしかった人」

小児がんで娘を亡くした経験をもとに、支えのかたちを語る全12回の連載です。

 

高下裕子(こうげ・ひろこ)

小児がんで小学生の娘を亡くした経験を経て社会福祉士となり、小児がん相談支援や遺族支援に携わる。現在もグリーフケアの実践を続けている。

第2回 「よかったね」と言われて 

医師は「比較的軽いタイプです」と説明した。六クール、五か月ほどで退院できる予定。新しい薬もあると言われ、「よかったね」と何度も声をかけてもらえた。そのたびに胸の奥に小さな灯りがともるようだった。

抗がん剤の副作用で髪は抜け、食欲も落ちた。それでも「これで治るんやね」と娘と確かめ合った。病室のカレンダーに印をつけながら、「あと何回やね」と数えた。退院したらバスケットに戻れるかな、何が食べたい? そんな未来の話をする時間もあった。

同じ病棟には再発を繰り返す子もいた。だからこそ「この子は恵まれている」と自分に言い聞かせ、感謝しなければと思った。

ただ、夜になると理由のないざわつきが胸の奥に残った。それを振り払うように、私は希望だけを強く握りしめていた。

地域文化と響き合うグリーフケア

「がんサポ喫茶止まり木」

がん経験者や家族、医療従事者などが立場を超えてフラットに集う、無料のオンラインサロンです。「患者会」ではなく、ふらっと立ち寄れる「街の喫茶店」をコンセプトに、毎週木曜日の昼と夜にZoomで開催されています。

活動で大切にしているのは、参加者が「ありのままの自分」でいられることです。無理に話さずただ聴くだけでも良く、厳しいルールや「頑張れ」という励ましもありません。孤独を感じがちな時に安心して本音を話したり、心を休めたりできる「サードプレイス(第3の居場所)」としての温かいコミュニティを提供しています。

 

がんサポ喫茶止まり木

店主 久田邦博

ご遺族が思いをともに分かち合う集い
がんなどで大切な人を亡くされた方が、日々の生活のなかではなかなか話すことのできない思いを分かち合う少人数の集いを開催します。あなたの経験やお気持ちを話してみませんか。
日時:2026年5月8日(金)18:00~19:30
場所:Gallery Café ピレネー通り

〒604-8202 京都市中京区衣棚通姉小路下る突抜町134 シェモア御池衣棚103

参加費:ワンドリンク制
定員:6名(事前予約制)
           予約は2026年5月7日(木)12時〆切
スタッフからの一言

 今回のコラムを読みながら、
人の心は「希望だけ」でも「不安だけ」でもなく、
そのあいだを行き来しているのだと、あらためて感じました。
話しても、話さなくてもよい。
元気でも、元気でなくてもよい。
そんな時間を、これからも皆さまと分かち合っていけたらと思います。 K.T

次回の配信日は2026年6月5日(金)になります。
NPO法人ともいき京都の活動情報は下記よりご確認ください!

下京区, 京都市, 京都府, Japan