パルタージュ  メールマガジン 2026年8月号

「本当のことを伝えるということ ― 親だから言えなかった ―」

この言葉は、今月の連載から生まれた一節です。

「伝えなかった」のではなく、「親だからこそ伝えられなかった。」その葛藤には、子どもを守りたいという深い愛がありました。しかし、その愛ゆえに残された後悔もまた、静かに語られています。

今月号では、この言葉を心に留めながら、連載や「今月の言葉を色にのせて」をお読みいただければ幸いです。それぞれの文章が響き合いながら、「本当のことを伝える」とは何かを、皆さまとともに考える機会になればと願っています。

 

※『パルタージュ』とは、フランス語で「共有する、分かち合う」という意味です。

連載コラム

「あのとき、いてほしかった人」

小児がんで娘を亡くした経験をもとに、支えのかたちを語る全12回の連載です。

 

高下裕子(こうげ・ひろこ)

小児がんで小学生の娘を亡くした経験を経て社会福祉士となり、小児がん相談支援や遺族支援に携わる。現在もグリーフケアの実践を続けている。

第5回 親だから言えなかった 

娘には病名を伝えなかった。「血の中に悪いものがいる」と説明した。小学校五年生でも、きっと分かっていたのだと思う。同じ病室の子が白血病だと聞かされていることも、使っている薬の名前も、全部つながっていたはずだ。

私は怖かった。白血病という言葉を口にした瞬間、この子の未来まで奪ってしまうような気がして。明るく振る舞うことが、親としての役目だと思い込んでいた。

亡くなった後に見つかった手紙には、「本当のことを言ってほしかった」と書かれていた。その一文を読んだとき、胸の奥が崩れ落ちた。

告知に正解はない。それでも、嘘は嘘を重ねるしかなくなる。本当は抱きしめ合って泣きたかったのかもしれない。その時間を持てなかったことが、今も心に残っている。

今月の言葉を色にのせて
「本当のことを伝えるということ ― 親だから言えなかった ―」
カラーセラピストが感じた色の世界

~インディゴブルーの海に沈む夕日~

冷たく深い海(インディゴブルー)も、オレンジ色の夕日も孤独を表していて、不信と不安の末に心の傷となって沈んでいる。
けれど深い海に棲むのはサンゴ。

私が真っ先に感じたのは、珊瑚の色コーラルだった。

母親の暖かな愛の色・守りたい・救いたい・優しく抱きしめたい心の色。

それがかなわなかった悲しみは大きい。

珊瑚は環境で変化する。環境が変わったとき、自身の気持ちを受け入れた時、また陽は上る。

私が感じた優しいコーラルの広がりの下には、うっすらとインディゴブルーが支えていた。

そう、インディゴブルーには “深い愛”という意味もあったのだ。

 

カラーセラピスト 内原静香

地域文化と響き合うグリーフケア

リレー・フォー・ライフ・ジャパン京都「Celebrate(生きることを祝う)」「Remember(想いを偲ぶ)」「Fight Back(がんに立ち向かう)」という3つのテーマの精神のもと、がんと向き合うすべての人が支え合うチャリティ活動です。年に一度のウォーキングイベントでは、参加者同士の交流や啓発に加え、ルミナリエセレモニーやエンプティーテーブルを通して、大切な人を偲ぶ静かな時間も大切にしています。悲しみや想いを語り、分かち合うこれらのひとときは、活動の一部としてグリーフケアにもつながっています。

 

リレー•フォー•ライフ•ジャパン京都実行委員会

尾崎智代

今月のひとこと
書籍『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』(著者:坂口幸弘,赤田ちづる、出版社:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン ) より、毎月ひとことずつお届けします。

悲しみのうずのなかで

「とにかく今日を生きる 自分のペースでゆっくりと」
 
大切な人を亡くした時、まるで暗闇の中にひとりぼっちになってしまったかのように思うことがあります。
 
とにかく今日を生きる。
自分のペースでゆっくりと
 
それが悲しみのうずの中にいるあなたに伝えたいことの1つめです。 
ご遺族が思いをともに分かち合う集い
がんなどで大切な人を亡くされた方が、日々の生活のなかではなかなか話すことのできない思いを分かち合う少人数の集いを開催します。あなたの経験やお気持ちを話してみませんか。
日時:2026年8月14日(金)10:45~12:15
場所:風伝館

〒602-8024 京都府京都市上京区室町通丸太町上る大門町253番地

参加費:無料
定員:6名(事前予約制)
           予約は2026年8月13日(木)12時〆切
スタッフからの一言

今月は「親だから言えなかった」という言葉が、心に深く残りました。伝えたかったこと、伝えられなかったこと、その一つひとつに、その人なりの愛や願いが込められているのかもしれません。今月号が、大切な人との時間を静かに思い返すひとときとなれば幸いです。

K.T

次回の配信日は2026年9月4日(金)になります。
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