パルタージュ  メールマガジン 2026年9月号

「わかるよ」の力

この言葉は、今月の連載から生まれた一節です。

今月の連載コラムでは、遺族になってからの切実な思いがつづられています。

行き場を失い深く傷ついた心を救ってくれたのは、同じ痛みを経験した人から贈られた「わかるよ」という言葉でした。

「今月の言葉を香りにのせて」の一篇もあわせてお読みいただければ幸いです。

 

誰の人生にも訪れうる「喪失」の悲しみ。コラムでのつながりがその悲しみにそっと寄り添い、

張り詰めた心を少しでも柔らかくほどくものとなりますように。

 

※『パルタージュ』とは、フランス語で「共有する、分かち合う」という意味です。

連載コラム

「あのとき、いてほしかった人」

小児がんで娘を亡くした経験をもとに、支えのかたちを語る全12回の連載です。

 

高下裕子(こうげ・ひろこ)

小児がんで小学生の娘を亡くした経験を経て社会福祉士となり、小児がん相談支援や遺族支援に携わる。現在もグリーフケアの実践を続けている。

第6回  遺族になってから

娘を亡くした後、心だけでなく身体も壊れた。全身が痛み、朝起き上がることさえつらかった。検査では異常はないと言われる。それでも、身体は動かず、時間だけが過ぎていった。

病棟の師長に「遺族を支えてくれる人はいませんか」と尋ねたことがある。「いませんよ」と静かに返された。その言葉を責める気持ちはなかった。ただ、自分にはもうどこにも行き場がないように思え、胸が冷えた。

大阪の遺族会に夫に連れて行ってもらい、同じ体験をした人と向き合ったとき、初めて涙があふれた。「わかるよ」と言ってもらえることの重みを知った。

けれど、その場は遠く、頻繁には通えなかった。帰り道、窓の外を眺めながら、もう少し近くに、ただ話を聴いてくれる場所があればと、静かに思っていた。

今月の言葉を香りにのせて
「わかるよ」の力 
アロマセラピストが感じた香りの世界

~言葉の代わりにそっと寄り添う~

言葉の代わりにそっと寄り添ってくれるものの一つが「香り」なのかもしれません。今回は、悲しみの時間に寄り添ってくれる2つの香りをご紹介します。
ベチバー「静寂」

心が揺れ動いているときに、足元にしっかりと地面があるような感覚を与えてくれる香りです。静かに深く呼吸しながらベチバーの香りに触れると、「今、ここにいる自分」にそっと意識を戻してくれるように感じられます。

スイート・マジョラム「心身を穏やかに温める」

孤独感や無気力など、心身が冷えてしまったように感じるときに、そっと温めてくれるような香りです。「ひとりでいることがつらい」と感じる時に、スイート・マジョラムの香りは、温かな手をそっと添えるように、心身に寄り添ってくれます。

 

香りは、悲しみをなくしてくれるものではありません。けれど、「わかるよ」と言葉をかけてもらうように、香りにも、言葉にならない思いをそのまま受けとめてくれる力があるのかもしれません。

 

アロマセラピスト 近藤めぐみ

地域文化と響き合うグリーフケア

死別の悲しみを分かち合う会・ともしび 

「ともしび」は、お寺の境内にある静かな離れで開催している分かち合いの場です。配偶者や親、子ども、きょうだい、友人など、死別の対象を限定せず、大切な人を亡くされた方であればどなたでもご参加いただけます。悲しみの表し方や歩み方に正解はないという考えのもと、語ることも、語らないことも尊重し、一人ひとりの思いや沈黙を大切にしています。運営には僧侶をはじめ、他の遺族会主宰者、看護師、保健師、公認心理師、薬剤師など多様な背景をもつスタッフが関わり、それぞれの専門性や経験を活かしながら、安心して過ごせる場づくりに努めています。

 

曹洞宗 凌雲山 崇禅寺

住職 西岡秀爾

今月のひとこと
書籍『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』(著者:坂口幸弘,赤田ちづる、出版社:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン ) より、毎月ひとことずつお届けします。

悲しみのうずのなかで

「悲しみは人それぞれ 悲しみとの向き合い方に正解はない 」
 
2つめにお伝えしたいこと 
『悲しみは人それぞれ』
 
あなたの悲しみはあなただけの大切なもの 
 
悲しみとの向き合い方に正解はないと
思うのです
ご遺族が思いをともに分かち合う集い
がんなどで大切な人を亡くされた方が、日々の生活のなかではなかなか話すことのできない思いを分かち合う少人数の集いを開催します。あなたの経験やお気持ちを話してみませんか。
日時:2026年9月11日(金)18:00~19:30
場所:Gallery Café ピレネー通り
〒604-8202 京都市中京区衣棚通姉小路下る突抜町134 シェモア御池衣棚103
参加費:ワンドリンク制
定員:6名(事前予約制)
           予約は2026年9月10日(木)12時〆切
スタッフからの一言

長かった猛暑の夏が過ぎ、暦は9月へと変わりました。

季節が移ろうように、お心も少しずつ変化していくかもしれません。どうか無理をなさらず、ご自身のペースでお過ごしください。E.M

 
次回の配信日は2026年10月2日(金)になります。
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