パルタージュ  メールマガジン 2026年10月号

言葉よりもぬくもり

この言葉は、今月の連載コラムから生まれた一節です。

今月のコラムには、ただそばにいてくれる人に支えられた経験が綴られています。

大切な娘を亡くし、深い悲しみの中にいたとき、支えになったのは励ましの言葉ではありませんでした。何も言わず、ただそばにいて、苦しみをともにしてくれる人の存在でした。

 

言葉をかけることだけが、誰かを支える方法ではないのかもしれません。ただそばにいる。そのぬくもりが、そっと心に届くこともあるのだと思います。 

このメルマガが、皆さまにとって、言葉にできない思いがあるときに、そっとそばにいてくれる存在のひとつになれたら幸いです。 

 

※『パルタージュ』とは、フランス語で「共有する、分かち合う」という意味です。

連載コラム

「あのとき、いてほしかった人」

小児がんで娘を亡くした経験をもとに、支えのかたちを語る全12回の連載です。

 

高下裕子(こうげ・ひろこ)

小児がんで小学生の娘を亡くした経験を経て社会福祉士となり、小児がん相談支援や遺族支援に携わる。現在もグリーフケアの実践を続けている。

第7回  ただ、そばにいる支え

そんな思いを抱えながら、ある日、地元のお寺に足を運んだ。檀家でもない私を、住職の奥さんは理由も尋ねず、静かに迎えてくれた。玄関先で「どうぞ」と微笑まれたとき、胸の奥が少しほどけた。

奥さんはお茶とお菓子を出し、「寒かったでしょう」と小さく声をかけ、あとはただ隣に座ってくれた。私は取りとめもなく娘のことを話し、ときに言葉にならず黙り込んだ。奥さんはうなずきながら、背中をそっとさすってくれた。

「元気そうでよかったね」と励まされるより、苦しみをそのまま受け止めてくれる存在がありがたかった。

答えを急がず、涙を止めようとしない時間があるのだと、そのとき初めて知った。人は、ただそばにいてくれる誰かによって、生かされることがある。 

 

今月の言葉を絵本にのせて
言葉よりもぬくもり 

『きみのことが だいすき』の著者が贈る、あなたの心にそっと寄り添うメッセージ絵本

月は、励まさない。
「大丈夫」とも言わない。
ただ、暗い夜に静かに光っている。

それだけなのに、少し安心する。

小さなどうぶつたちが暮らす森では、夜になると、どこからか話し声が聞こえてきます。
だれかに会いたくなって、やさしい声が聞きたくなって……
月明かりの下でおしゃべりを始めるどうぶつたち。
「きみが いてくれたから、今日は いい日だったよ。」
「ぼくはね、うまくいっても、きみが すき。うまくいかなくても、きみが すき。」
心細いとき、あなたの心にそっと寄り添ってくれる、温かい絵とメッセージがつまった絵本です。

 

作・絵:いぬい さえこ
出版社: パイ インターナショナル 
地域文化と響き合うグリーフケア

 がん患者の家族と遺族のためのサロン「ふらっと」

「ふらっと」は、Flatな(元気のない)気持ちも、サロンにお越し頂くことでFlatな(平らな、平静な)気持ちになって頂けるようにと願って開設した、がん患者さんを支えてきた(支えている)皆さまのための分かち合いの場です。

がんを患ったご家族を見送られた方の参加が多いですが、血縁によらず患者さんと近しい方、医療・福祉従事者の方などのご参加もあります。現在闘病中の患者さんを支える立場の方の参加も可能です。

「ふらっと」でのお話は「ふらっと」の中だけに、話したくないことは話さなくていい、それぞれの“ものがたり”を皆で愛おしむことなどをサロンのおやくそくとしています。どうぞ安心して“ふらっと”お立ち寄りください。

 

代表 竹内香

今月のひとこと
書籍『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』(著者:坂口幸弘,赤田ちづる、出版社:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン ) より、毎月ひとことずつお届けします。

大切な人を亡くして経験する感情は悲しみばかりではありません。

どんな感情があっても、あなたの感じるままにあることが、今は大事なのだと思います。 

3つめにお伝えしたいこと
 
『怒りもあなたの大事な感情』 
 
理不尽に思える現実に対して、
やり場のない怒りを感じることは、
けっして特別なことではありません 
ご遺族が思いをともに分かち合う集い
がんなどで大切な人を亡くされた方が、日々の生活のなかではなかなか話すことのできない思いを分かち合う少人数の集いを開催します。あなたの経験やお気持ちを話してみませんか。
日時:2026年10月9日(金)10:45~12:15
場所:風伝館
〒602-8024 京都府京都市上京区室町通丸太町上る大門町253番地
参加費:無料
定員:6名(事前予約制)
           予約は2026年10月5日(月)12時〆切
スタッフからの一言

10月に入り、朝晩は少しずつ秋の気配を感じるようになりました。

季節が移り変わるように、私たちの心も日々、さまざまに揺れ動きます。そんなとき、特別な言葉はなくとも、そばにいてくれる人の存在に、ふっと心がほどけることがあります。

誰かのぬくもりを感じながら、ゆっくりと過ごせる秋になりますように。M.K

 
次回の配信日は2026年11月6日(金)になります。
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